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2008年12月16日 (火)

アコースティックライブ 〜読経2008〜

少々不謹慎な話題かもしれませんが…。

お葬式には坊さんがつきもの、という言い方は失礼ですね。キリシタンだったら坊さんの代わりに神父になるんでしょうが、オイラの祖父は自分で材木から釈迦像を切り出して金色に塗って神棚に祀り拝んでいたぐらいでしたから、葬儀にはもちろん坊さんが呼ばれていました。

その恰幅のよい坊さんは、いわゆる定番スタイルというべき、高そうな紫色の袈裟、菊の紋章が縫いこまれている見目鮮やかな橙色の袴、俳人松尾芭蕉がかぶっていたような薄いベージュ色の頭巾(正確な名称は知らん)に身を包んで葬儀場に現れました。そして棺の前に用意されている椅子に腰掛けると、懐から経本を取り出し、おもむろにお経を唱え始めました。その声の朗々としていることと言ったら。まるでオペラ歌手のようです。

読経が進むに従って、坊さんがまるでミュージシャンのようだ、という印象はどんどん強まっていくばかりでした。それは坊さんが経を読みながら叩く仏具のせいです。

座っている坊さんの前には机があり、そこには様々な仏具が置いてあります。まず木魚。木魚と聞くと、あの梅干の種に切れ目が入ったような形を思い浮かべますが、今回のそれは横一線にぶった切った丸太の断面図のようなものでした。円形の中心がちょっと盛り上がっていて、そこをバチでリズミカルに(≧∇≦)叩くのです。

そして、よく仏壇に手を合わせる前に『チーン』と鳴らす、小さな座布団に鎮座ましまししている金属製の味噌汁茶碗みたいなのがありますよね。今調べたら、あれの名称は「りん」というらしいですが、そのりんが何と4つもあるのです!特大、大、中、小と取り揃えられており、最後の一番小さいものはチビタのおでんのように手持ちの棒の先に取り付けられているものです。大きさが小さくなっていくに従い、叩いたときの音が高くなっていきます。

お経を読みながら、これらの打楽器、じゃないや仏具を時に強弱や緩急を付け、時にためを作ったりして打ち鳴らすのです。その姿は…完全にドラマーを連想させるものでした。

そして、お経も終盤に差し掛かると、坊さんは我々に言いました。

「皆様ご唱和ください。南無阿弥陀仏」

こ、これは「さぁ皆さんもご一緒に歌いましょう」ってやつでは!?

ここに至り、オイラにはもうこれがただの読経だとは思えなくなってしまいました。じゃあ、どう思ったのかと言えば、こんな風に感じました。「これはエンターテイメントだ」と。すなわちこれは、「葬儀という名の"読経ライブ"だ」と。

何となくお経のありがたみが薄れるようなことがもう一つ。

坊さんがお経を読んでいる最中に、ある時点で葬儀場の担当者の人がマイクで「ご焼香の時間」がやってきたことを我々に告げました。そこで我々は2人ずつ焼香を行いました。その間、坊さんは棺の方に向かってお経を唱え続けており、我々に背を向けているので、参列者全員が焼香を済ませたタイミングはわからないはずなのです。それなのに、最後の方の焼香が終わると、坊さんはまるでそれを見ていたかのように、すぐに読経を終わらせました。

なんでわかったのでしょう?まさか…あの頭巾の下の耳には無線のイヤホンが装着されていて、式場の担当者の人が小さな声で『焼香ラストです』とか指示を出しているとか!?

以前、漫画家の蛭子能収さんが「葬式のような、笑っちゃいけない場面になると、逆におかしくってしょうがなくなってくる」という話をしていましたが、そこまではいかないにせよ、読経に余りにも様々な要素が含まれていると荘厳さが失われると言うか、逆に多少うそ臭くなってくる気がするなぁ、とは感じました。

読経が終わり、式場担当者の指示(「皆様、退場されるご導師を合掌でお見送りしてください」)で皆が手を合わせる中、坊さんはゆっくりと式場を出て行きました。朗々と南無阿弥陀仏を唱えながら。そして最後に会場の出入り口で、まるで置き土産のように先ほどの一番小さい携帯用りんを『ちーん』と鳴らして出ていきました。…この一連の行動を不自然に感じて、思わずにやけてしまいそうになったのはオイラだけだったんでしょうか?

物事にはたまに、「元来通り退屈のままであることを義務付けられているもの」もあるのかもしれません。

<出社:0/2(0%) ラン:2/2(100%) 58kg>

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